これは昔、自分がリサイクルショップで働いていた時の話です。
普段は内勤の自分が、出張買取にアシスタントでついて行くことになりました。
向かった先は営業所からほど近いマンションの一室。
お客様は一人暮らしをしている20代後半の女性。
夏だからか、結構な薄着でした。
自分はメインバイヤーではないので、商品のチェックなどを担当。
交渉は相方に任せました。
しかし、なぜだかお客様は自分に話を振ってきます。
「この金額って妥当ですか?」とか「コレってどう思います?」とか。
話好きなのかなぁと思い、笑顔で「そうですね~」なんて返しながら商談終了。
無事に買取成立し、お互い笑顔で別れました。
帰社後、本社にお客様からお褒めの電話があったと上司から言われ、自分も相方も気分良くその日の仕事を終える事ができました。
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その数日後、同じ女性から再び出張依頼があります。
自分は内勤でやらなければならない仕事が有ったので、他の社員が買取に同行。
帰社後、お客様に自分の事を聞かれたらしく、「営業所に居ますよ」と答えたそうです。
「気に入られたのかな?」「このままお得意さんになってくれると良いね」なんて話をしていました。
更にその数日後、アノお客様が営業所にやってきます。
その会社は基本出張買取メインなのですが、小物なら店頭買取も担当しているので、その時営業所に居た自分が担当。
「久しぶりですね~」なんて話をしながら、雑談を交えて交渉しました。
雑談を交えるのは互いの距離を詰めて、交渉をスムーズに行うためです。
普通、バイヤー側から色々なネタを振るのですが、その時はお客様の方から積極的に話をしてきました。
それだけでは無く、自分の手を握って「もう少し高く買い取って貰えませんか?」など、さりげないボディタッチをしてきます。
その時に、何となく薄気味悪さを感じたのですが、お得意様を無下に扱う事はできず笑顔で対応しました。
そんな事が数回続いたある日の事…。
仕事が終わり駐車場へ向かったのですが、自分の車の前に佇んでいる人影があります。
お客様でした。
夏らしいワンピース姿のお客様は、自分に気が付くとニコリ笑います。
「どうしたんですか?」と聞くと「ご相談したい事が…」とモジモジ。
すでに営業所も閉店しているし、少し悩みました。
しかし退勤も切ったばかりだし、少しぐらいなら残業も付けて貰えるだろうと女性を連れて再び営業所へ戻ります。
「今、電気付けますね」
真っ暗な中、商談をする店頭だけ明かりをつけた瞬間、突然お客様が自分の背後から腰に手を回してきました。
突然の事態に何も言えずにいると、お客様が背後で呟きます。
「お兄さん、私は幾らで買ってくれますか?」
「…は?」
自分は人から良く「鈍い男」と言われますが、そんな自分でも流石に誘われていると察する事ができました。
いやいや、ここ職場だし不味いだろ?でもすでに退勤してるし、プライベートなら良いのか?ってか、よく見ると美人さんだな…等々、様々の事が頭をよぎります。
どのくらいフリーズしていたでしょうか、気付けばお客様は自分の正面に回っていました。
驚く自分に、お客様は背伸びをして自分の口を己の唇で塞いできます。
「むぅう!!」
唸る自分を無視し、お客様は強引に唇を開け、舌を捻じ込んできました。
今まで経験した事のない激しい口づけ。
呼吸をする頃も忘れ、されるがままの自分。
酸欠で頭がぼんやりしてきた時、お客様は漸く唇を放し、ニッコリ笑って言いました。
「お兄さんなら、100円で良いよ」
お客様は自分から離れると、普段交渉をしているテーブルに腰かけ、大きく足を広げました。
ワンピースがたくし上げられ、露わになった秘部。
お客様は下着を履いていませんでした。
この時、自分はもう冷静な判断ができなくなっていたのでしょう。
少しだけ感じていた恐怖心は微塵も無くなっていました。
フラフラとお客様に近付くと、今度は自分から唇を重ねます。
激しくキスをしながら、お客様は器用に自分のベルトを外し、ズボンを下げ、いきり立ったモノを取り出しました。
「返品はできないからね」
そう言って微笑むお客様は、恐ろしいほど奇麗でした。
自分はお客様を押し倒し、己の欲望を突き入れます。
それは本能をむき出しにした激しい挿入。
「…ぅ」
お客様から漏れ出た甘い吐息が、自分の理性を吹き飛ばしました。
猿のように腰を振り、胸を揉みしだく。
後にも先にも、これほど情熱的になれた事はありません。
そんな中で、そういえば防犯カメラがあったよなぁ…とか、バレたらクビかなぁ…なんてドコか冷静な自分も居ましたが、正直どうでも良かった。
何度も絶頂し、何度もいきり立ち、繰り返しお客様を求めました。
どの位の時間が経ったでしょう。
やがて精魂尽き果て、その場に座り込む自分。
二人の荒い息だけが、営業所内に響き渡ります。
しばらくして呼吸を整えたお客様が、衣服を整えながらテーブルから降りました。
そして自分に向かって微笑むと、「またね」と言って営業所を出て行きました。
数日後、自分はリサイクルショップを辞めました。
その後、お客様とも会っていません。
ナゼかと問われると明確な理由はなかったと思います。
ただ、何となく残っていてはいけないような気がしたのです。
後悔は有りませんし、未練もありません。
ただ、あの時お客様が言った…
「返品はできないからね」
あの言葉だけが、何時までも頭に残って消える事はありませんでした。
そして、その度に思い出します。
「そう言えば、100円払ってなかったなぁ…」