ムジ男
先月末の夜、9時過ぎに自宅から2km弱の銭湯に車で出かけました。
4年前まで暮らしていた温泉町では、近所の共同浴場に毎日のように通っていたので自宅のお風呂では物足りず、週に3～4回は銭湯を利用します。
営業時間は3時半から10時までで、土曜が定休日。
月曜・水曜・金曜のパート勤務が4時に終わると、制服を普段着に着替えて直行します。
入り口が男女別で、男湯と女湯の境に番台があるというレトロなお風呂屋さん。
清潔なタイル貼りの洗い場でカラダを隅々まで磨き上げ、熱めのお湯を湛えた浴槽にゆったり浸って心身を癒すことは、日常生活における私の楽しみのひとつです。
夕方の時間帯、番台にはいつも海坊主のようなご亭主が座っています。
女湯はガラガラで、顔を合わせるのは年輩の常連さんばかり。
日曜は夜の時間帯に利用することが多いのですが、番台が女将さんのせいか混み合っており、同年代の方や若い方も見かけます。
銭湯の近くで小料理屋を営んでいるママさんの話では、平日も番台がご亭主から女将さんに交代する6時を過ぎると、女湯は混み合うとのことです。
こんな遅い時刻にお店を利用するのは初めてです。
番台はご亭主で、女湯は私一人でした。
車を使った夜間の利用ですから、勤め帰りのときと違ってノーブラです。
ショーツを脱いで裸になると、前も隠さずレトロな体重計に乗りました。
ロッカーは壁際に設置され、板張りの脱衣場はガランとしています。
番台のご亭主には全裸の私が丸見えでしょう。
番台の経験がなかった私は、お店を利用し始めた当初、「男の人」の前で裸をさらすことに戸惑いと抵抗がありました。
4年前に主人と初めて利用したときなど、引き戸を開けて番台のご亭主に気付いて「ヤダ、どうしよう！Ｕターンしようかしら」と悩んだくらいです。
車のキーと家の鍵は主人が持っていたので、車で待つことも家に帰ることもできません。
覚悟を決めて中に入ると、羞恥心と緊張感に包まれながら服を脱ぎました。
それでもタオルで胸や下腹部を隠したりはしませんでした。
そのときも女湯にいたのは年輩の方が数人で、誰もそんな真似はしていないのに、40歳代の私だけがご亭主を気にしているような素振りを見せるのは悪いと思ったからです。
お風呂は気持ちが良かったのですが、入浴を終えて脱衣場に出たとき番台のご亭主と目が合って、前も隠していない湯上りの裸をジロッと見られてしまいました。
前屈みで自分のロッカーに向かうと番台に背中を向け、バスタオルで素早くカラダと髪を拭い、そそくさと服を着てお店を出ました。
先に出て車で待っていた主人に「お風呂は気持ちが良かったんだけど、番台のご亭主がイヤだった！」と自分の気持ちを伝えました。
「オヤジは、女の裸なんて見慣れてるよ！」というのが夫の返事でしたが、その一言は裸をガン見された私のモヤモヤ感を和らげてくれる効果がありました。
「一度見られたら、二度見られようが三度見られようが同じ！」と開き直ることで銭湯通いを始めた私ですが、番台のご亭主に慣れるまでには一定の時間を要しました。
これまで月に平均15回として1年で180回、4年間で700回はお店を利用しました。
その4分の3が夕方の時間帯だったとすれば、番台のご亭主の前であられもない全裸の姿を500回以上は披露したことになります。
私には、「男の人」に対する恥じらいや警戒心が欠けていたのでしょうか？
そんな私を、ご亭主は一体どんな目で見ていたのでしょうか？
職場にご亭主が来られたときは別でした。
制服を着た私に気付いて「アラッ」という表情を浮かべたご亭主を見て、思わず顔を伏せてしまったのです。
お店を利用し始めて1年以上が経過していたので番台のご亭主にも慣れ、裸をさらすことにも戸惑いや抵抗はなくなっていました。
それだけに、服を着て銭湯の外で顔を合わせると、ご亭主を「男の人」として意識してしまった自分が意外でした。
その日ばかりはご亭主の前で裸になるのが恥ずかしくて、真っ直ぐ家に帰りました。
話の舞台を先月末の夜10時前に戻します。
洗い場から出たとき、お店の時計は閉店時間の5分前を指していました。
玄関の電気は消え、出入り口の引き戸と男湯との境の扉が開いて、人の気配はありません。
ご亭主は脱衣場に降りて、後片付けを始めていました。
前も隠さないで洗い場から出て来た全裸の私を、ご亭主は数ｍしか離れていない位置からジッと見ました。
明らかに私の胸と下腹部に向けられたご亭主の露骨な視線に、これまでお店では経験したことのない不安と警戒感に襲われました。
閉店間際の銭湯という閉ざされた空間に、全裸の私は「男の人」と二人切りの状況です。
がっちりしたご亭主がその気になれば、無防備な私を犯すことは容易でしょう。
普段はバスタオルでカラダと髪を丹念に拭うのですが、裸でグズグズしているとご亭主が変な気を起こしそうで、さっと拭っただけで服を着ると、シャッターが半分降りた玄関から外に出ました。
何だか不思議な世界に迷い込んだかのような感覚でした。
帰り道にコンビニに寄って、缶酎ハイを買いました。
ノーブラなので乳首の突起が目立つらしく、私の胸元に向けられたレジの若い店員さんの視線が気になります。
銭湯では数ｍも離れていない「男の人」の前に全裸で立ち、胸と下腹部をジッと見られたというのに、服の上から乳首の突起が目立つことを気にしている自分が、ひどく滑稽に思えてしまいました。
ポカポカ陽気だった翌週、仕事が休みの平日に徒歩で一番風呂に出かけました。
番台はご亭主で、洗い場にはすでに年輩の常連さんが二人いましたが、二人が出た後はずっと貸し切り状態でした。
その日は珍しく浴槽のお湯がぬるくて、男湯の方からは文句を言う声も聞こえていました。
浴槽に一番近いカランの前に座ってまずカラダを丹念に洗った後、普段よりも長くお湯に浸かり、浴槽から上がると顔と髪を洗いました。
洗い終わって仕上げのお湯に入ろうと立ち上がったとき、いつの間にか洗い場に入って来ていたご亭主が、浴槽の前にしゃがんで温度確認をしていることに気付きました。
しゃがんだ姿勢のまま振り返ったご亭主は、立ち上がった私を下から見上げました。
ご亭主の視線は、私の胸から下腹部に移動していきました。
さらにご亭主は、浴槽の縁を跨ごうとする私の股間を覗き込んだのです。
ご亭主には、濡れた乳房と乳首、お湯が滴るヘアとその隙間から顔を覗かせている縦筋が目と鼻の先にあったばかりか、股間を覗き込んだときラビアと膣も見えたことでしょう。
この4年間、「男の人」の前であられもない全裸の姿を堂々と披露してきた私ですが、手を伸ばせば届く距離から陰部まで見られてしまったことはさすがにショックです。
勃起が治まるのを待っていたのか、ご亭主は暫くしゃがみ込んでいましたが、やがて立ち上がると洗い場の奥にあるボイラー室に入り、そのまま出て来ませんでした。
目の当たりにした私の乳房、乳首、ヘア、縦筋、ラビア、膣を思い出しながらオナニーしていたに違いありません。
その間に洗い場から出た私は、素早くカラダと髪をバスタオルで拭い、そそくさと服を着ると空っぽの女湯を後にしました。
ご亭主は女湯に私しかいないのをチャンスとばかりに、浴槽の温度確認を装って洗い場に入って来たのでしょう。
そして乳房と乳首、ヘアと縦筋を目の当たりにしてガマンできなくなり、股間まで覗き込むという行為に出てしまったのです。
ラビアと膣を見たことで、ご亭主の欲望は抑え切れない程度にまで高まったでしょうから、男湯の方に誰もいない状況だったら、その場で犯されていたかもしれません。
今にして思えば、玄関の電気が消えてシャッターが半分降りた店内で、全裸のままご亭主と二人切りになり、胸と下腹部をジッと見られた8月末はかなりヤバい状況でした。
それ以来、ご亭主はガランとした店内で無防備な私を犯すシーンを想像しながら、オナニーしているのではないでしょうか。
気が付くと番台からジッと見られていることはよくありましたから、あるいは4年間ずっとオナネタにされていたのかもしれません。
どうやら私は、ご亭主にとって「好みのタイプ」のようです。
初めて利用した日、前も隠していない湯上りの裸を番台からジロッと見られたのも、お店に入って来た着衣の私を目にするなり、欲望を覚えたからでしょう。
そんな「好みのタイプ」が、着ていたものを全て脱いで裸になる一部始終を見届けたご亭主は、入浴を終えて洗い場から出て来る姿を正面から見ようと待ち構えていたのです。
番台から初めて私のヘアヌードを目撃した4年後、ご亭主はついに私の陰部を目の当たりにするまで迫って来ました。
次に何が起こるかを想像するだけで恐ろしく、今では平日も女将さんが番台に座っている6時以降にお店を利用するようにしています。
夕方の時間帯と違って、女湯は混み合っています。
空いたお風呂にゆったり浸かって疲れを癒すことができなくなった私も残念ですが、「好みのタイプ」の裸を脱衣場や洗い場で愛でては、思い出しオナニーするという楽しみを失ったご亭主は、さぞ寂しい思いをしているのでしょうね…
それどころか「こんなことになるんだったら、あのとき躊躇なく犯しておけばよかった！」と悔やんでいるのかもしれません…
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