女性が多く働く職場に勤務しています。
他部署には男性も数多く働きますが、独身者となると少なめ。
人事異動で独身者が配属されると、その瞬間、職場が色めきたつのです。
ビジュアルの良い男性となればなおさら。
「ねえ、今度の人事異動できたあの人、見た?」
どこからともなく、そんな会話が聞こえて来ます。
最初は私もそんな野次馬根性も持っていたものの、徐々にくだらないことだと思うようになります。
エレベーターガールである私はある日、人事異動により配属された人気者を載せてしまいました。
本当は面倒な女の園で男の取り合いに巻き込まれることは避けたいところなのに、二人きりで遭遇してしまいます。
「きみ。可愛いね。電話番号教えてよ」
そう声をかけられたことが始まりです。
最初はお断りしたものの、とにかくしつこいのです。
そのしつこさと言ったらもう、体力の消耗から言葉には表現できないくらいです。
何度目かで電話番号を交換、その後お食事にも一緒に行きました。
誰にでも声をかけているプレイボーイだとは知らずに。
食事の流れでホテルへ誘われ、何故か彼とベットインすることに。
運動部と聞いていたように、軽いノリの男でベットインを感じさせないノリが誘い文句です。
彼がベットの上に横になると、騎乗位をするようにとせまって来ます。
騎乗位はそんな好きな体位ではないものの仕方がないので、乗ってみたんです。
「おおおおおお」
どこから聞こえたのかと、一瞬だけ疑ったものの、明らかに私の下に寝ている男の声でした。
彼は騎乗位の時の女の体の体感に対して声をあげているのです。
「やだ、ビジュアルはいいのに、この男エッチの時はダサい。」
私は心の中で思ってしまいました。
「ねえ、君、もっと動いてみてよ。腰を動かしてもっともっと。」
体育会系男からの注文は激しめでした。
まるで王様のような注文が入り、ここまで来たらと動いてみたのです。なぜそこまでするのかと聞かれると、仕事上での女同士の牽制、やっかみ。
妬み、なんかもあるようです。
腰を前後に振り乱してゆらゆら、ゆらゆらと。
自分でもすこし、気持ちが良かったりなんかして、積極的になって男のものを利用していました。
ここのところ男日照りが継続しているものだから、彼のもので中を満たしたい。
「あああ。。君も腰使いが上手いんだね、エレベーターガールはみんなそうなのかな。」
この時、彼がエレベーターガールはみんな腰つかいが上手いのかな?と口を滑らせたことについて、「えっ?」と我に返ったのです。
他のエレベーターガールともやってるんだ、体育会系の男には想像できない些細な失言が原因で、遊ばれていた女のひとりであることに気がつきます。
私たちはたしかに女が多い職場ですが、同じ男と付き合ったり、ましてや体を共有したりすることに平気な女ではないのに、いつのまにかそんなふうになっている事態についてショックでした。
あの子もあの子も、そういえば意味深なリアクションを見せていたのはそのせいね。
みんな知っていたんだわ。
男を共有していることを知っていた女、知らなかった女、どちらもアブノーマルな女。
彼はエレベーターガールを職業にしている女の性癖、特徴について楽しんでいたに違いないのです。
彼曰くエレベーターガールは、腰に強く、騎乗位が得意だと決めつけているみたいでした。
そんな経験からも、私は職場恋愛にはますます要注意するようになったのです。
その後その男はというと、何の悪びれもなく職場を経験してからまた何処かへと移動して行きました。
誰かとカップルになり結婚することもなく。
私の職場とはそういう目で見られる職場であると言うことだとわかって来た時には、転職を考えることにしたんです。